「和晒(わさらし)」という言葉を聞いたことがありますか?
手ぬぐい、浴衣の裏地、注染の反物……。日本の伝統的な染色文化を支えてきた素材でありながら、その製造現場を知る人は年々少なくなっています。
今回は、私たち平野晒工場が大切にしている「和晒」の本質と、私たちがこの製法を守り続ける理由をお話しします。
そもそも「晒(さらし)」とはなにか
晒とは、綿生地(反物)を精錬・漂白し、不純物を取り除いて白く柔らかく仕上げた布のことです。日本では江戸時代から、大釜に水と薬品を入れ、生地をじっくり煮沸する「釜炊き製法」が受け継がれてきました。
この製法で仕上げた布を特に「和晒」と呼びます。
和晒と洋晒の違い
現代では化学薬品による短時間処理「洋晒」が主流になっています。効率は圧倒的に高い。しかし和晒にしかない特性があります。
| 比較項目 | 和晒(弊社) | 洋晒 |
|---|---|---|
| 精錬時間 | 2〜4日間(大釜で煮沸) | 数時間(化学処理) |
| 繊維の断面 | 円形を保つ(柔らかさ・空気含有) | 圧力で扁平になりやすい |
| 吸水・染色性 | ◎(注染・有松絞りに最適) | ○(用途による) |
| 肌触り | やわらかく、洗うほど馴染む | 均一だが和晒特有の感触はない |
最大の違いは「綿繊維の断面」です。和晒の大釜製法は圧力をかけずに煮沸するため、繊維は円形断面を保ちます。これがやわらかな手触り、優れた吸水性、そして注染ならではの発色の深さに直結します。
私たちの工場の大釜
平野晒工場では、6,000リットルの大釜を使って生地を煮沸します。一度に投入できる量は限られており、その日の気温・湿度・水質によって仕上がりが変わります。
職人が毎回、火加減・時間・水の状態を目で見て・手で確かめながら判断する。機械では置き換えられない、人の目と経験が不可欠な工程です。
和晒が使われる代表的な用途
- 注染(ちゅうせん):日本の伝統的な染色技法。和晒の吸水性と染色適性が不可欠です。
- 有松絞り・その他の絞り染め:繊維が柔らかく吸収性が高い和晒は、絞りの表現を豊かにします。
- 手ぬぐい・さらし木綿:素肌に触れるものだからこそ、和晒のやわらかさが喜ばれます。
- 赤ちゃん向け肌着・ガーゼ製品:デリケートな素材を必要とする用途にも、和晒は選ばれます。
- 医療・衛生用途:ガーゼ加工品として、病院や福祉施設でも長く使われています。
なぜ、今も続けているのか
三代目代表の平野茂巳はこう言います。
「和晒加工業者は年々減っています。重い生地を扱う肉体的な負担、効率化できない工程……。それでも、和晒にしか出せない風合いがある。日本の染色文化にとって、なくてはならない素材だと信じているから、続けています」
1927年の創業から約100年。三代にわたって守り続けてきたこの技術が、日本の染色文化を下支えしているという誇りが、私たちの原動力です。
サンプルのご請求・卸売のご相談はお気軽に
平野晒工場では、B2B(業者様向け)の和晒の受注・サンプル請求を承っています。注染・絞り染め・ガーゼ加工など、用途に応じた仕様でご相談に対応します。
「こんな布を探している」「サンプルを試してみたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。